こんにちは!
最近日本で年下の大学生の子たちとお話することが多くて、いろいろ刺激を受けているのですが、その中で私は留学や海外移住についてよく話します。
英語圏に留学する人たちは多いのですが、東南アジアの国・インドネシアにインドネシア語を勉強するために留学して仕事をするというのはいささか新鮮なもののようで、年が離れている子たちとも留学つながりでいろいろ話が盛り上がり、話しているうちにいろいろ発信したいことがあるのだと気づいたので、今日は「インドネシアに留学するということ」について書きたいと思います。
私がインドネシアに留学を決めたのは非常に単純な理由で、「日本人があまりいないところに行きたい」、「英語圏以外に行きたい」というそれだけの理由でした。「インドネシアって日本人はたくさんいるでしょう?」と思うかもしれませんが、ジャカルタやバリ、スラバヤを除けばあまり日常生活をしていて日本人に会うことはありません。
「日本人があまりいないところに行きたい」
そう思ったのは、「自分が外国人である」というのを経験してみたかったからです。日本人が多いと日本人としての、日本独自のマナーを守らなければいけませんが、自分が外国人であれば「人のことを傷つけなければ、多少のミスは許される」ということです。
どんなことにも物事には良い点・悪い点があります。私は良い点の方が多かったので、インドネシアに留学して、その後日本で大学を卒業し、新卒なのにインドネシアで就職してしまいました。そしてそのことをとても幸運に思っています。
良い点
「自分が外国人である」というのは日本に暮らしていると感じることのできないものです。
上で書いた、「人のことを傷つけなければ、多少のミスは許される」というのは、もちろんミスを敢えてするわけではないのですが、挑戦できるということです。例えば挨拶の手順がちょっと違っても問題ではないのです。あれをしなければならない、これをしなければならない、というのが少なくなるのです。
また、私はインドネシアでは「外国人」なので、外国人としてのチャンスがありました。例えば留学期間中、過疎地域の中学校で英語を教えてほしいという依頼が大学を通してありました。私はシャイな性格なので、人前に出るのはたとえ相手が子供であっても嫌だったのですが、ほかに日本人はいないし、外国人も少ない地域だったので、私が外国人であるということだけで歓迎されました。大げさかもしれませんが、「私にもできることがある」、「私も価値がある」と思わせてくれる出来事でした。
また別の機会では、留学生会議に参加させてもらったこともあります。数多くの留学生がいましたが、日本人はなぜか私だけでした。そこで知り合った人たちには、私の全く知らなかった日本のアートについて教えてもらったり、自分の国の良さや、私がなぜ日本にいて息苦しさを感じるのか、などを徐々に理解し始めるきっかけにもなりました。
大変な部分
これは留学だけに限らず、海外で住むときに絶対考えなければならないことですが、日本人が少ない地域に住むと、その周囲の多くの人にとっての「日本人」は、そこに住む日本人になります。良いことをしても悪いことをしても、それが周囲の人の「日本人」の印象になります。
こう書くと、上の「良い点」で書いた「挑戦できる」というのは嘘のように聞こえるかもしれません。でもここで重要なのは、ミスや悪いことをしたときに「そのミスが悪いことだと認識していたか」、「この地域では受け入れられないものだということを認識していたか」、「次に同じことを繰り返さないように意識しているか」だと思います。
私も留学中、以前その地にいた日本人で悪さをした人がいたようで、そのせいで面倒な目にあったこともありました。その悪さをした人のために、関係のない私が嫌な呼ばれ方もしましたし、不愉快なメールをもらったりもしました。海外で人としてやってはいけないことをすると、周りの人だけではなく、そのあとに来る同じ国の出身の人も同じ目で見られたり(「別の人間である」ということを理解しない人もいけないといえばそうなのですが)するので、国内にいても海外にいても、人として意識しなければならないことはどこにでもあるのです。
「英語圏以外に行きたい」
英語圏に行くというのは中々大変なことです。行く前も行ってからも大変ですが、私が数年留学して日本に帰ったところで、私の英語力は日本にたくさんいるだろう帰国子女にかなわないだろうと思ったことです。またコストもかかります。そして私の一番の問題は、「自分がこの先に何をしたいのか」ということがクリアでなかったことです。
語学の問題で言えば、頑張ればTOEICの点数は満点に届くでしょうし、英語のドラマを字幕なしで観て楽しむこともできるようになるでしょう。でも日本にも海外にも、すでにネイティブばりに英語を喋れる日本人は山ほどいるのです。高い英語力を持つことはとても重要な意味がありますし、やはり先進国に集まった豊富な学問の知識というものは何にも代えられないものだと思います。しかし、それでもインドネシアのような途上国に留学するのも意味があるのだと思います。
学部が経済学部だったこともあり、初めはインドネシア語を学ぶというのはナンセンスに思っていました。初めはただ留学するための理由付けのためにインドネシア語を勉強することにしました。でも今インドネシア語を喋れるようになり、「インドネシアに留学したこと」を誇りに思っています。そしてインドネシア語が喋れてインドネシアに住める日本人は結構レアだから、意外といろいろなチャンスにめぐり逢います。
留学前には想像しなかったメリット
単純ではありますが、いろんな国からの外国人に出会えるというのも大きいです。そのいろんな国の中には名前も聞いたことのなかった国などもありました。
物価が安いことからも、世界各国から来たお金持ちではない人たちもいました。インドネシアはいろんな国に対してオープンです。一部のインドネシア人は不満に思っていることも事実ですが、多くの国の学生に対して奨学金を与えています。先進国がビザの発給を厳しくしている国の出身者でも、自国ではただ生きることに必死にならなければならない人でも、インドネシアに来て勉強するチャンスがあります。もちろんお金持ちの人たちも来ます。いろんな人に対して門戸を開けることが必ずしも正しいことだとは限りませんが、私はセーフティネットとしてのインドネシアも大好きです。
そしてそのインドネシアにいることで、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちのいろんな生き方、考え方を聞けるのは私にとって本当に素晴らしいことでした。
必ずしも大学を卒業してすぐに働かなくてもいいし、なんなら放浪してもいいし、世界にはいろんな企業があるし、人生を楽しむことに夢中になってもいいし、もっと家族を大切にする時間があってもいいし。
世界には様々な流れがあって、考えがあって、意外とどうやっても生きていけるのだということがわかりました。日本だけが世界ではないのです。
これから何をやりたいかわからず漠然と悩んでいる人は、自分の新しい行き先を探しに、日本人がいない場所に行って、留学なり放浪なり就職なりしてもいいのではないでしょうか。
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